2024年10月2日。健康経営EXPOという展示会に夫と行きました。わたしの夫は、大手化学会社に30年以上勤め、定年前の57歳で退職するまでの間、在籍していた研究所では、リーマンショックをきっかけに「健康経営」に力を入れ、離職率の低下、メンタル疾患の減少、業績アップなど、数字として結果を出していて、NHKに取材を受けるほどでした。

あれから10年以上たち、新型ウイルス、人口減少、高齢化、自然災害と、次々起こる予期せぬ事象に、世の中では、メンタルの問題を抱える人は後を絶たず、組織のトップが経験とキャリアだけで組織をまとめていくのが困難な時代に突入してると、現場の声を耳にしました。

夫が在職中は、産業医、保健師、カウンセラーが定期的にいて、よく利用をしていたと聞いていました。「なぜ、セラピストがいないのか?」という疑問に至り、今回は3回に渡って、思うところを書こうと思います。1回目は、「なぜ、アメリカの企業に、セラピストがいるのか?」

アメリカの企業で働いた経験がある人から「必要だよね」と言われたことがあります。セラピストを置く目的は、社員の心身の健康をサポートし、仕事のパフォーマンスを向上させるためであり、その役割は、社員がストレスや不安、身体的な不調を解消することで、健全な職場環境を維持し、生産性の向上に寄与することになります。以下に具体的な理由を挙げます。

働く人のメンタルヘルスの向上

セラピストは、社員が抱えるストレスや不安、燃え尽き症候群などのメンタルヘルスの問題に対応します。これにより、従業員の心理的な負担が軽減され、精神的な健康を保つことができるため、欠勤や業務効率の低下を防ぎます。

職場のストレス管理

企業の中には、ストレスフルな環境で働く従業員が多くいます。セラピストは、ストレス管理のテクニックやリラクゼーションの方法を提供し、従業員が仕事とプライベートのバランスをうまく取れるようにサポートします。これにより、長期的なパフォーマンス向上が期待されます。

企業文化としてのウェルビーイングの重視

アメリカの企業は、従業員のウェルビーイング(心身の健康や幸福)を重視する文化が広がっています。セラピストを雇用することは、企業が従業員の健康に対して積極的に投資し、働きやすい職場環境を提供する姿勢を示す方法です。これにより、従業員の満足度やロイヤルティも向上します。

パフォーマンスの向上

心身の健康は、仕事のパフォーマンスに直接影響を与えます。セラピストが従業員の身体的な痛みや疲労を緩和することで、集中力や創造力が高まり、生産性が向上します。特に、デスクワークや肉体労働による体の負担を軽減するための施術が行われることが多いです。

職場の人間関係やコミュニケーションの改善

セラピストは、従業員の感情的な問題や職場の人間関係のトラブルに対処することもあります。これにより、職場のコミュニケーションが円滑になり、チームワークの強化や職場の雰囲気の改善が期待されます。

社員の保持と採用競争力の向上

ウェルビーイングに配慮した企業は、優秀な人材を引き付け、長期間働いてもらうことが容易になります。セラピストのようなメンタルヘルスやウェルネスのサポートが充実している企業は、従業員が企業に留まる意欲を高め、他社と差別化を図るポイントにもなります。
セラピストを企業に置くことは、従業員の健康や幸福に直結し、それが最終的に企業の成功にもつながるため、アメリカの多くの企業が積極的に導入しているのです。

【疑問】カウンセラーとセラピストはなにが違うのか?

夫から、「カウンセラーとセラピストの違いってなに?」という質問があったので、次はそのことについて、書きます。

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