
前回の記事では、日本・アメリカ・欧米諸国における「心のケア」への捉え方の違いをお伝えしました。そこで夫から出た、ある素朴な疑問。
「そもそも、カウンセラーとセラピストって何が違うの?」
この違いを理解することは、これからの日本企業がどうあるべきか、そして私たちがどう自分を扱うべきかを知るための大きなヒントになります。
カウンセラー:対話で「思考と感情」を整理する

カウンセラーの主な役割は、心理的・感情的な支援です。
アプローチ: 主に「対話」を通じて、クライアントの心の中にある絡まった糸を解きほぐします。
目的: 自己理解を深め、ストレスの正体を見極め、対人関係や問題解決への道筋を立てること。
企業の役割: メンタル不調のサインをいち早くキャッチし、「言葉」で支える防波堤となります。
セラピスト:身体から「意識と生命力」を整える

一方でセラピストは、対話に加え、より身体的・感覚的なアプローチを含みます。
-
アプローチ: 心理的な治療だけでなく、リラクゼーション療法、マッサージ、アロマ、エネルギーワークなど、五感や身体感覚に働きかけます。
-
目的: 心と体はつながっている(心身一如)という前提に立ち、蓄積した緊張を物理的にリセットし、本来の「心地よさ」を取り戻すこと。
-
企業の役割: 言語化できないストレスを身体から解放し、パフォーマンスを根本から底上げする役割を担います。
人は「心」だけで生きているのではない
私たちは心であると同時に、肉体という「物質」でもあります。
この肉体の扱い方は、人によって驚くほど違います。いかに自分の体の声を聴き、不調を未然に防ぐ「扱い方」を知っているか。その早期予防ができる人ほど、人生の難題もスムーズに解決していくものです。
WHO(世界保健機関)は、健康をこう定義しています。
「病気ではないということではなく、肉体的、精神的、社会的に完全に良好な状態(ウェルビーイング)であること」
この「完全な良好さ」を目指すとき、対話によるカウンセリングだけ、あるいは薬による治療だけではベストとは言えません。
結論:これからの日本企業に「セラピスト」を
アメリカの企業が生産性のために、北欧の企業が人間らしい権利のためにセラピストを取り入れているように、日本企業もまた「心身の両面」をサポートする場へと進化する必要があります。
夫の元職場で見た「健康経営」の成功例は、まさにその一歩でした。
社員が「自分の心と体の扱い方」をプロのセラピストから学び、日々メンテナンスできる環境。それこそが、予測不能な時代において、組織のトップも従業員も共に「生きやすく、強い」チームでいられる唯一の道ではないでしょうか。
