
2024年10月、私は夫と共に「健康経営EXPO」を訪れました。夫がかつて勤めた大手化学メーカーでは、10年以上前から「健康経営」に取り組み、離職率の低下や業績アップという目に見える成果を出していました。
しかし、展示会で耳にした現場の声は切実でした。予期せぬ災害や社会不安が続く現代、リーダーの経験やキャリアだけでは組織を支えきれない時代に突入しています。
かつての夫の職場には産業医やカウンセラーがいましたが、私はあえて問いたいのです。「なぜ、日本の企業に『セラピスト』はいないのか?」と。
アメリカ:生産性を最大化するための「積極的投資」

アメリカの先進企業において、セラピストの導入は「福利厚生」というより「経営戦略」です。
リラクゼーションの価値: デスクワークによる身体の強張りをセラピストが解きほぐす。それが集中力や創造性を生むと信じられています。
メンタルは「エンジン」: 心身の不調はマシントラブルと同じ。最高のパフォーマンスを出すために、日常的にメンテナンスを行うのが当たり前という考え方です。
北欧・ヨーロッパ:人間らしくあるための「権利」
「アメリカ流の効率主義」とは少し異なるのが、幸福度の高い北欧やヨーロッパの視点です。
予防医学の浸透: 「壊れてから直す」のではなく、壊れないように「整える」。セラピスト的なアプローチは、社会保障の一部として、あるいは生きる権利として職場に溶け込んでいます。
「休むこと」への哲学: 働くことは人生の一部に過ぎません。デンマークの「ヒュッゲ(心地よい時間)」のように、職場でも心身の安らぎが守られるべきだという強い文化的土壌があります。
日本:なぜ進まないのか?「我慢」という見えない壁

一方で、日本の現状はどうでしょうか。
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「産業医」と「セラピスト」の距離: 日本の産業医制度は「医学的診断」が主です。しかし、私たちが求めているのは、診断名がつく前の「なんとなくの不調」や「心のよどみ」を流してくれる存在ではないでしょうか。
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自己犠牲の美徳: 「仕事中にリラックスするなんて」という罪悪感が、セラピストの導入を阻んでいます。しかし、夫の元職場が証明したように、ケアに力を入れることは結果として組織を強くします。
【疑問】カウンセラーとセラピストは何が違うのか?
ここで、私の夫から投げかけられた素朴な疑問を紹介します。 「カウンセラーとセラピストって、何が違うの?」
多くの日本人が抱くこの疑問こそが、日本でケアの文化が分断されている象徴かもしれません。次回の記事では、この「似ているようで違う」二つの役割と、なぜ今、企業にはその両輪が必要なのかを掘り下げてみたいと思います。

