藤井聡太棋士と、伊藤忠商事の元社長のインタビュー本。『考えて、考えて、考える』を読みました。

読み進めながら強く感じたのは、これは将棋の本でも、経営の本でもなく、「意識の使い方」についての本だということでした。特に藤井棋士の言葉には、「意識レベル」という視点から見ると、一貫した共通点が見えてきます。

 

 

結果より内容を重視する人の意識の特徴

藤井棋士は、繰り返しこう語っています。

  • 結果よりも内容を重視する
  • 精査して、次につなげたい
  • 周りのせいにせず、瞬間瞬間のベストを追求する

ここで注目したいのは、評価の基準が外側ではなく、内側にあるという点です。意識が外に向いているとき、人は勝敗や評価に振り回されます。

一方で、意識が内側に安定してくると、「自分は何を考え、どう判断したか」という思考のプロセスそのものに意識が向きます。

結果は結果として受け取り、課題は冷静に次へつなげる。この姿勢が、長く安定したパフォーマンスを支えています。

集中力は作るものではなく、整った意識の結果

藤井棋士は、集中について次のように語っています。

  • 集中することを意識しなくなった時に、集中の中で勝負している

  • 目の前のことを楽しむ

  • 楽しめるように工夫する

これは、「頑張って集中する」という段階を超えた状態です。

意識が「今ここ」に揃っている時、集中は努力の結果ではなく、自然に起きている状態になります。

また、「楽しむ」という言葉も印象的です。ここで言う楽しさは、気分の高揚ではありません。余計な不安や雑念が入り込まず、意識が一点にまとまっているサインでもあります。

感情を否定せず、引きずらないという強さ

負けたときの向き合い方にも、意識の安定が表れています。

  • くやしさを全部自分で引き受けてから、泣くのをやめた

  • 負けをずっと引きずらない

  • 悔しい時はまず寝る、反省は翌日にする

感情を抑え込むのではなく、感じ切った上で手放す
判断が必要なときは、意識が落ち着いた状態で行う。

この切り分けができている人ほど、長期的にブレにくくなります。

感想戦が好きな人は、自分に対して冷静で、心が安定している

藤井棋士は「感想戦が好き」と語っています。負けた局面を対戦相手と一緒に振り返り、どこで差がついたのか、なぜその判断をしたのかを話し合う。しかも、「捉え方が違うのがおもしろい」と言う。

これは、反省が自己否定ではなく、純粋な観察と分析になっている状態です。意識が安定していないと、反省は自分を責める方向に傾きがちです。意識が整っていると、反省はただの情報整理になります。

自分を「一応」信じるとはどういうことか?

調子が悪い時の言葉も印象的でした。

  • 自分を信じてあげる

  • 一応信じて指す

ここには、過剰な自信はありません。不安があっても、完璧でなくても、自分を完全に切り捨てない。積み重ねてきた自分を信じることで、人は崩れずに前に進み続けることができます。

年齢と経験で変わる、局面の捉え方

藤井棋士は、世代による違いについても触れています。

  • 20代、30代は局面をフラットに捉える

  • 50代、60代は信念や構想、感覚として捉える

これは、意識の使い方が経験によって成熟していく過程を示しています。分析中心の段階から、経験と直感が統合された段階へ。

どちらが正しいのではなく、意識の成長段階の違いとして見ると自然です。

意識が整っている人は、淡々とやり続ける

藤井棋士の言葉を通して一貫して感じるのは、ここです。

  • 気持ちに引きずられすぎない

  • 淡々とやり続ける

  • 弱点を把握し、改善できるかどうかが大切

特別な精神論はありません。観察し、考え、修正し、続ける。それを感情に左右されずに積み重ねていく。この姿勢こそが、結果としての「強さ」につながります。

将棋も、経営も、人生も共通する「意識の使い方」

『考えて、考えて、考える』というタイトルは、努力を強いる言葉ではなく、意識とどう向き合うかを問いかけているように感じました。才能かどうかではなく、意志の強さでもなく、意識をどこに置き、どう扱っているか。将棋も、経営も、人生も、突き詰めると行き着く先は、「意識の使い方」なのだと思います。意識レベル判定はこちら