
NHKの特集「2025復活と死闘 連覇の舞台裏」。今回は大谷翔平選手個人だけでなく、チームメイトや監督の言葉、そしてチーム全体の空気に意識を向けて視聴しました。その結果、勝敗や成績以上に、チームの意識のあり方そのものが、結果に大きく影響しているように感じられました。
合計3回視聴。初回はどんな人でもやっぱり「積み重ねは大事」と感じ、2回目は大谷選手のこれまでの経験から培われた特性に注目し、3回目は関係者も含めて「意識がどこへ向いているのか?」と、観察をしました。
大谷選手が加わる前のドジャース

ドジャースは元々、実力のある非常に強いチームで、レギュラーシーズンの成績も毎年安定していますが、スター選手が揃っているにも関わらず、得点も打率もホームラン数も、32年ぶりの対戦相手であるブルージェイズを下回り、なにがブルージェイズと違うのだろう?と、感じました。
もしかしたら、プライドと意欲の間を行き来しながら、「勝たなければならない」「結果を出さなければならない」という意識が緊張感となって、チーム全体に漂っていたのかもしれません。
そして、スター選手揃いであるが故に、それぞれがヒーローを狙いがち。一発を狙い、一喜一憂し、不調に陥りやすいということもあったようです。
ブルージェイズは、見ていてひとりひとりがコツコツと数を稼ぐ。まるでWBCの時の日本チームのようでした。
大谷選手加入後に生まれた変化

今年は、「これまでになく親密なチームだ」「お互いのためにプレーしていた」そして「翔平がみんなを導いている」と監督がインタビューで語っていました。WBCの時と同じく、ドジャース自体も大谷選手が加入してからの「意識」の変化がパフォーマンスに影響しているように感じました。
どのような意識でグラウンドに立つのかを、大谷選手は日々の姿勢で示していたように思います。
大谷選手自身の意識のあり方

大谷選手のインタビューを通して印象的だったのは、シーズンを通じて一貫した、落ち着いた視点でした。肘の手術や脱臼、年齢について語る場面においても、悲観や焦りよりも、「現実を受け止めた上で、今できることに向き合う」という姿勢が感じられます。
投球フォームを変える決断についても、自らコーチに提案しています。無理を重ねるのではなく、リズムやエネルギーを見直すための冷静な判断だったように思います。
誰かがヒーローになろうとするのではなく、それぞれがチームに貢献できることは何か?という意識の変化から、行動が変わり、結果につながったようでした。コーチやトレーナーが、大谷選手は「微妙な身体の変化を察知できる」「今、なにをすべきかを理解している」と評価されていること、それが結果として出ていることを考えると、マインドフルネス的な能力も、日々鍛錬しているように感じました。
行き詰まりの中で現れた、チームの意識
10月のポストシーズンで、大谷選手が打撃不振に陥った時期があり、30打席でヒットが2本という厳しい状況の中。チームメイトみんなが小さな努力を積み重ね、カバーをしました。
それぞれが自分の役割に集中したと、ベテラン選手た答え、大谷選手のひたむきさと献身が、チーム全体に「自分も努力しなければならない」という意識を生んでいたと語っています。結果を追いかける前に、やるべきことに立ち戻る。その姿勢が、チームを一つにしていたということだと思います。
追い込まれた場面で見えたもの

残り試合がわずかとなり、後がなくなった状況でも、休養日にもかかわらず、選手たちは自然とグランドに集まり、練習を行っていました。
無理に頑張るというよりも、「チームのために、今の自分に何ができるのか」を言葉にはせずとも、それぞれが考えていたと大谷選手は感じていました。
そうした意識と行動の積み重ねが、緊張感が高まる中でも爆発的な力となって発揮されたと思います。
意識が揃ったときに生まれる力
この特集を通して私が感じたのは、チームの強さは、戦術や才能だけでなく、意識の状態が揃うことによって引き出されるという点でした。行き詰まった時に、問題を外に求めるのではなく、自分に戻る。誰かを責めるのではなく、支え合う空気を保つ。
大谷選手は確かに特別な才能を持っています。しかし、番組を通して感じたのは、この「意識の向け方」そのものは、私たちの日常にも重ね合わせることができるのではないか、ということでした。こんな職場があったら働きたいよねとも思うし、家族それぞれに「意識の向け方」が身に付いていたら、生きやすく、よりどころとなるはず。
結果が出る前に、どのような意識で、どのような姿勢で日々を重ねているのか。その積み重ねが、人やチームの力を最大限に引き出していくのだと感じました。
