忘れもしない20年前。素晴らしい親子に会った。当時は訪問看護が始まったばかりの頃で、障がい児の訪問介護を地域でやってみたいという気持ちがあり、看護師さんが、この親子の家に連れて行ってくれた。野球が大好きだった中学生の息子さんが、体調を崩したことから髄膜炎になり、寝たきりになった。最初は耳も聞こえるし、目も見えていたのに、徐々にその機能は失われて、気管切開することになる。24時間体制の介護で、1か月のうちの1/3は都内のS病院で預かり、2/3はお母さんが頑張っていた。

聴覚も視覚も徐々に失われていく中で、母親はなにをしたかというと、コミュニケーションが取れる間に、彼の頬に鏡文字を書くと、その文字の時に彼がまばたきをするというもの。それによって会話が成立している。息子さんは体得していた。わたしが訪問させてもらった時はすでに目も見えず、耳も聞こえていなかったので、その鏡文字で当時、巨人の松井の話で親子が盛り上がっていたのだけど、お母さんの鏡文字の速さとそのスピードに反応する息子さんのまばたきに、心の中で「本当に会話しているの?」と疑ってしまった。しばらくしてお母さんが息子さんに、歌を歌おうと頬に書いた。すると息子さんは口パクし始めた。その口パクは間違いなく、お母さんが提案した歌で、衝撃だった。音も聞こえず、目も見えず、体も不自由な状態で、頭の中では元気な時の記憶のままだった。母親の覚悟と未来を予想して諦めずに準備した親子に、いつもクールなわたしでも感動し、頭が下がる思いだった。

わたしは今比較的元気な方に病気にならない生き方をしようよ、一緒に発信する側になろうよと、語っているけれど、未来を想像して準備はできているだろうか?病気の原因は脳や精神、ちょっとの霊障。ほとんどが外からやってくるものではない。自分が作っている割合がほとんどだ。未来を予想したこの親子は、たまたま諦めない人たちだっただけで、ほとんどの人が、いよいよなにも出来なくなって、死に直面した時、あたふたするのだろうと思う。どちらを選択するにしてもその人の人生。いいも悪いもない。ただ間違いないのは、未来を逆算して準備すると後悔はない。

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